苔の同定 – ウロコハタケゴケ

苔の勉強

藤沢で散歩してたときに苔類を見つけました。
しばらく なんだろ なんだろ と名前を探してたのですが、ウロコハタケゴケが特徴に合っているようでした。

これまでよりは踏み込んで特徴を調べることができましたよ。

見つけた苔

住宅街の湿った土の上に丸く広がってました。
こういうのをロゼット状に広がるって言うんでしたっけ。

奇跡的に派にピントがあった一枚

特徴としては

  • 街中に生えてる
  • 葉状体が灰緑色
  • 葉状体の縁がほんのり白い
  • 葉状体の中央が深く折れ曲がってる

まずあたりをつけるために先日作ったリストを眺めると、
苔類で発見数が多いのはゼニゴケ、ジンガサゴケの2つ。

なのですが、実は山地と比べて街中でよく見つかる科があるのです。
それがウキゴケ科。

和名市川市での発見数丹沢での発見数
ウキゴケ科ウキゴケ31
ウキゴケ科ハタケゴケ50
ウキゴケ科コハタケゴケ20
ウキゴケ科ウロコハタケゴケ50
ウキゴケ科ミヤケハタケゴケ20
ウキゴケ科サビイロハタケゴケ60
ウキゴケ科カンハタケゴケ10
ウキゴケ科ミドリハタケゴケ10
ウキゴケ科イチョウウキゴケ10

市街地での発見数が山地を超えているのは、私の普通種調査では少数派でした。
特にウキゴケ科はダントツ。

まずはこの3つにあたりを付けて調べてみましょう。

早速画像を調べてみますが、ゼニゴケとジンガサゴケは色もさることながら葉の中央の凹みがないですね。
なのでそうそうに候補から除外されました。なむ。

ハタケゴケはどうでしょう。
Google画像検索に「ハタケゴケ」と入れて、画像の色を水色に。
おや、あっさりそれらしい画像が出てきました。
「ウロコハタケゴケ」
それっぽいです。

もう少し詳しく調べてみましょう。

ウロコハタケゴケとは

三河の植物観察 ウロコハタケゴケによると、ウロコハタケゴケは外来種で日本に来たのは結構最近なんじゃないか、との報告があるそうです。

たぶんこの論文ですね。
日本新産のRiccia lamellosa Raddi(ウロコハタケゴケ:新称)

2000年に発行された論文なんですね。
最近のようなひと昔前のような。
こんな町中で見つかる苔が、それまで報告されていなかったのは不思議です。

論文は無料で公開されていますね!
せっかくの機会なので読むよ。

ウロコハタケゴケの特徴

曰く、6つの特徴が指摘されています。

(1)葉状体が幅1−2mmと大きい
(2)葉状体の背面の溝が線状である
(3)腹鱗片が葉状体の縁からはみ出す
(4)葉状体に気室がない
(5)胞子がときにドーム形となりほとんど翼がない
(6)胞子が径80−120μmである

1. および 2.についてはその通りではないでしょうか。
写真だけではサイズはわからないですが、幅1-2mmという記述に違和感はないです。
特に背面の溝は特徴的に思いました。

3. については、どこが腹鱗片?という感じです。
葉状体の周りが白いかどうかと勝手に解釈し、当てはまることにしましょう。

4. は私レベルでは判別付きないのです。
今回の奇跡的な程のピントの合った写真でも、20倍程度の倍率ではよくわからない、よ?
ちなみに、気室については植物環境突破力の画像がわかりやすい気がします。

5. および 6. は今回は胞子を付けてなかったのでわかりません
たとえ胞子を付けてたとしてもやっぱり写真には撮れないんですけど。

特徴はそれっぽく合っているように思います。

類似種との差異

さらに論文では、ミヤケハタケゴケおよびミドリハタケゴケが特に類似していると記載されています。

ミヤケハタケゴケはそっくりであるが、腹鱗片が葉状体からはみ出しているかどうかで判断できるとのこと。
今回の写真では、腹鱗片の判別こそできないものの、葉状体の周囲が白いことからミヤケハタケゴケではないと判断しました。

またミドリハタケゴケについては名前の通り濃い緑色をしているとあります。
こちらも今回の苔の特徴とは異なりそうです。

類似種との差異を見ても、ウロコハタケゴケと判断できそうですね。

まとめ

論文に記載されていた特徴から、おそらくたぶんウロコハタケゴケと判断してしまっても良いのではないでしょうか。
素人レベルの限界点だと思っております。

日本蘚苔類学会の論文って無料で読めるんですね。
暇があれば他の論文も漁ってみたいものです。

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