【苔図鑑】ギンゴケ

苔図鑑

ギンゴケは世界中に広く分布している苔の1種です。
日差しや乾燥に強く、市街地のアスファルトやブロック塀などに丸いクッションを作っているのを頻繁に見かけることができます。

ギンゴケの群生はしばしば白っぽい見た目をしています。
これは苔の葉先に葉緑体が存在しないためです。
この白い部分のおかげでギンゴケは日差しの強い場所でも成育できると言われています。

分類(※)蘚類 ホンマゴケ目 ハリガネゴケ科
育成場所アスファルトやコンクリートの上、ブロック塀など
日当たり日向 (苔の育つ明るさを参照)
湿度乾燥
育ち方丸いクッションのような形を作る
※分類のうち、目は植物和名ー学名インデックスYList
科はしだ・こけ (新装版山溪フィールドブックス)に基づく

ギンゴケの特徴

ギンゴケは世界中に広く分布している苔の1種です。
日本においてもアスファルトやブロック塀など、身近な環境で観察することができます。

ギンゴケの一番の特徴はやはりこの見た目の色でしょう。
ギンゴケは典型的な苔とは異なり灰緑色~白色の見た目をしています。
これは苔の葉先に葉緑素が存在しておらず、見た目が白くなっていることに由来します。
感覚的には明るい環境であるほど白い見た目をしているように思います。

2021/10/16撮影

ギンゴケをルーペなどで観察すると、小さな緑色の粒がついていることがあります。
これは無性芽と呼ばれるもので、これが育つと苔になります。
無性芽から育つ苔は蒴から放出される胞子とは異なり、放出元の苔のクローンになります。

2020/06/03撮影
写真中央から下にかけて葉の隙間に小さい緑色の無性芽が見える。写真上と左の緑色の葉はカタハマキゴケ。

ギンゴケの葉は霧吹きをかけても茎に密着しています。
図鑑によれば葉は広卵形、中肋は葉先近くまで達します。
私が観察した限りでは、葉先の白さのせいで中肋は確認が難しいです。

2021/05/06撮影

蒴は丸みを帯びており、長く伸びた柄から垂れ下がるように付きます。

ギンゴケの入手方法

探してみると各通販サイトでも一部の店舗でギンゴケを取り扱っているようです。

苔 ギンゴケ
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また、ギンゴケは街中でもよく見かけることができる苔なので自身で採取するという手段もあります。
ただし、苔の採取には地権者などの許可が必要な点に注意してください。

採取のための許可を取るにはこちらの記事も参考にしてください。

ギンゴケの育て方

ギンゴケは通常は、明るく乾燥した環境で育ちます。
そのため苔テラリウムのようなケースの中での育成は向いていません。

ギンゴケを育てる場合には、明るく風通しの良い場所に置く、水やりの頻度は少なめ、という育て方になると思われます。

ギンゴケの雑学

ギンゴケは日本だけでなく、世界的に広く分布している苔の1種です。
国内でも沖縄から北海道、なんと富士山の山頂でも見かける事ができるそうです。
広く分布しており観察も容易な生物のことを「汎存種」もしくは「普遍種」と呼ぶそうです。
汎存種の苔としてはヘチマゴケやハリガネゴケなどが含まれるようです。

また、ギンゴケは市街地でも育成する苔でもあります。
このような苔はアーバンモスとも呼ばれるそうです。
市街地は大抵の場合湿度が低く、また大気が汚染されていることが多いです。
アーバンモスはこのような環境でも育つことができる苔ということです。
アーバンモスの代表としてはギンゴケの他にホソウリゴケやサヤゴケなどがいます。

別の記事で紹介しているサヤゴケは大気汚染の指標として参照されることを紹介していました。
詳しくはこちらの記事を参照してください。

ギンゴケの写真

2021/10/16撮影
2020/07/06撮影
2020/06/29撮影

参考文献

ギンゴケの育成地については以下のような論文がありました。

■ 南極でのギンゴケ発見報告
堀川 1961 オングル島及びその周辺地域の蘚類(予報)(生物部門)(<特集>南極シンポジウム)

■ 富士山山頂でのギンゴケ発見報告
丸尾,伊村,増澤 2012 富士山の高山帯における蘚苔類植物相

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