【苔の採取】苔を取るための許可をもらう話

苔の勉強

最近は東京都の野川公園で苔の観察をすることが多いのですが、たまに苔を採取したいなぁと思うことがあります。

苔は勝手に採取してしまっていいものなのでしょうか?

まず大原則として、苔の採取には所有者の許可が必要です
また、土地によってはそもそも採取が禁止されている場所もあります

今回はの話は、私が東京都の野川公園で苔を採取できるのか、を確認してみたという話です。
苔を採取してみたいなと考えている人には参考になるかと思います。

結論としては、野川公園での苔の採取はNG、野川での採取は個人で少量ならOKでした。

それでは順を追って許可を取るまでの流れを確認してみましょう。

土地ごとの所有者・管理者の探し方

許可を取るためには、許可を取る相手、つまり土地の所有者や管理者を探す必要があります。

苔を取りたい場所として思いつくのは、川沿い公園道端などでしょうか。

それぞれの土地の所有者・管理者の探し方を考えてみましょう。

川沿いの場合

川沿いという土地は、基本的には場合は国や都道府県、市区町村といった自治体が管理していると思われます。

正確には河川を管理しているのですが、堤防や水門などの河川に付随する施設も管理対象となっています。

管理する組織は、都道府県をまたぐような大きな河川であれば国、市区町村をまたぐような河川であれば都道府県が、それ未満の河川は市区町村が管理している印象です。

私の住んでいる東京都であれば、東京都建設局が河川ごとの管理者を案内してくれています。

まずは都道府県のウェブサイトを探したり、都道府県の担当者に問い合わせてみましょう。

公園の場合

公園の場合も自治体が管理していることが多いです。

大きな公園であれば「〇〇県立××公園」などといったように、管理している自治体が名称に含まれていると思います。

小さな公園の場合は、市区町村が管理していたり、隣接するマンションや団地が管理者となっていることも考えられます。

道端の場合

道端での苔の採取を考えている場合、許可をとるまでのハードルが高い場合があります。

道という土地の場合、所有者が個人の場合がでてきます。
また、誰がどこまでを管理しているのかがわかりにくいケースも存在します。

国道や県道といった道であれば分かりやすいですが、住宅地の細い道は所有者が個人であったり、近隣の住民が共同で所有している場合があります。

きちんと確認するためには、自治体に問い合わせるか、法務局に問い合わせる必要が出てくる可能性があります。

ただし、自治体によってはウェブサイト上で道ごとの管理者を閲覧できる場合があります。

私の見つけたものでは、練馬区が「地図情報 ねりマップ」というサービスを提供しており、国道・県道・区道を閲覧することができました。
管理者が表示されない道は「私道」ということになりますね。

山や森の場合

山や森で苔を採取したい場合には許可を取るのはかなりハードルが高いと思われます。

直接管理者を知っている土地であればよいのですが、一から探そうとする場合には法務局に問い合わせるぐらいしか思いつきません。

また、人の住んでいない土地は境界線が曖昧であり、管理者を見つけるという作業を難しくさせます。

山や森で管理者が分かりやすいケースとしては、その土地が国立公園や国定公園の場合でしょうか。

国立公園や国定公園の場合は、残念ながら自然公園法で植物の採取が禁止されているため苔も採取することはできません。

野川公園の管理者を探す

野川公園は誰が管理しているのでしょうか?

野川公園は都立公園であるため、東京都が管理していると思われますが、その前に注意することがあります。

一度、野川公園の公園マップを確認してみましょう。

公園の北西から東にかけて野川が横切っているのがわかりますね。

野川公園の「公園マップ」から引用

この野川沿いですが、ここは公園の管理下ではありません

河川というものは土地が長距離続いているため、通常は河川ごとに自治体が一括して管理しています。

なので、野川公園の中でも採取場所によって許可を求める相手が変わります。

川と公園の境目についても確認しておきましょう。

川としての管理範囲は河川区域という範囲が該当するようです。

国土交通省 国土技術政策総合研究所の河川用語集から引用

野川の場合には水が流れている場所と、護岸は河川区域と言えそうですね。

公園との間には通路があるため、そこを境と見ておけばよさそうです。

野川公園について都立公園の管理課に問い合わせてみると、公園ごとに管理事務所が異なると教えていただけました。
そして野川公園を管理しているのは西部公園緑地事務所だそうです。

次に野川について調べてみると河川の管理と活用というページが見つかました。
河川区域ごとに管理が別れており、野川が流れている区域を管理しているのは北多摩南部建設事務所のようです。

問い合わせてみた

それぞれの管理者に以下の点を確認してみます

  • 個人的に育成するために苔を採取したい
  • 採取する苔は手のひらに収まる程度
  • 許可は取れるか

野川公園

野川公園での苔の採取について西部公園緑地事務所に電話をしたところ以下のような回答をいただけました。

  • 野川公園を含む都立公園での植物の採取はNG
  • ただし学術目的であれば許可が出せることもある

都立公園での苔の採取はNGでした。残念。

確認後に調べ直したところ、確かに都立公園Q&Aというページに類似の質問がありました。

Q 公園内で植物採集や昆虫採集をしたい。

A 公園環境の保全の妨げとなる行為や商業用の採集は禁止しております。
  詳細につきましては、各公園の管理所までご確認ください。

都立公園Q&Aから引用

学術目的であることを説明できれば、また話が変わるかもしれません。

野川沿い

野川沿いでの苔の採取について北多摩南部建設事務所に電話をしたところ、以下のような回答をいただけました。

  • 個人で少量採取する程度であれば問題ない
  • 柵を設けて採取するような場合には占有届けが必要
  • 水中に入る場合などは怪我には気をつけるように
  • 何かあれば(担当者)に連絡してください

野川沿いの苔の採取は、個人で少量であればOKでした。

担当者の名前も教えていただき丁寧に対応していただけました。

電話のあとで調べ直してみたところ、野川には周辺住民も協力して策定した「野川ルール」というものがあるようです。

野川では、公園などを除いて、自由に生き物を採取することができます。でも、とりすぎたり、飼育方法が分からないのに持ち帰ったりして、生きものたちを殺してしまっては、かわいそうです。採取して観察したら、もといた場所に帰してあげましょう。もし、飼育する時には、その生きものの飼育方法をよく調べてからにしましょう。

野川ルールから引用

生きものを大切にしましょうね、という思いが伝わってきますね。

まとめ

苔を採取するためには所有者や管理者を探し、許可を取る必要があります。

公園や川沿いであれば比較的簡単に管理者を探すことができました。

ただし、都立公園は苔の採取はNG、野川沿いでは個人で少量であればOK、という結果となりました。

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